2015年10月23日

カメラマン 宮脇慎太郎の所幸則写真集『アインシュタインロマン』レヴュー

思えば今まで何百、何千の写真家が新幹線に乗ったのでしょう、その車窓からの風景をこういった形で作品として昇華させた者は今までいなかった。聞けば東京から岡山まで、窓際に立ってひたすらずっと撮影しているそう。その執念!かくいう僕もこの窓からの風景を何度も見ていたはず。ここまで人の認識する世界は違うものかと思うと同時に、人生の全ての時間を作品という一点へと集中させる作家の熱量、そして常に新たな表現を発想し誕生させていく姿勢にはメチャクチャ刺激を受けます。

今まで出会った本物だな〜と思う人たちは、本なら本、音楽なら音楽で何か一つのことをずっと考えている人が多かった。改めて写真集を見ていて、これは所さんの夢の景色なのかなとも思った。それを現世に引っ張りだすには、そういう行為と状態が必要なのでしょう、誰に言われなくともやらざるを得ない、寝ても覚めてもという半覚醒が。

プリントとして見るなら表紙のビルが転送されているような一枚か、禍々しさすら感じる富士の写真が人気なのだろうけど、個人的には写真集という本の形になって見た時には中盤以降の荒々しい、何が写っているのかも分からないくらいサイケデリックな数ページを見る時が一番興奮しました。まるで所幸則の見る疾走する夢がこちら側の世界に浸食してきたかのよう。見える世界をも破壊するスピードの暴力!しかしそれは同時に現代社会が追い求めてきた夢でもある。僕たちはその夢がもうとっくに壊れているはずなのに、まだ覚醒せずそこに乗っている気でいるのかも知れないなと。

時速10万kmで太陽の周りを回りながら、1700kmで自転する地球の上を280kmで走る乗り物で見た、現代の東海道五十三次の白昼夢に。
http://www.amazon.co.jp/%E6%89%80%E5%B9%B8%E5%89%87%E5%86%99%E7%9C%9F%E9%9B%86%E3%80%8E%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%80%8F-%E6%89%80%E5%B9%B8%E5%89%87/dp/490412054X/ref=sr_1_6?ie=UTF8&qid=1440503202&sr=8-6&keywords=%E6%89%80%E5%B9%B8%E5%89%87


posted by tokoro at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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